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2025.3.18
カテゴリ: 高性能住宅のススメ
全館空調とは?エアコンとの違い、メリット・デメリットを詳しく解説します

注文住宅を検討するとき、冷暖房設備をどのように選ぶかは非常に重要なポイントです。空調設備は、部屋ごとにエアコンを設置するのが一般的ですが、最近注目を集めているのが家全体を適温に保つ「全館空調」です。
今回は、全館空調の基本からエアコンとの違い、またメリット・デメリットを詳しく解説します。最後まで読んでいただければ、快適に暮らすための空調設備について知識が深まるはずです。ぜひ最後までご覧ください!
全館空調とは
全館空調とは、家中をまるごと一括で冷暖房するシステムを指します。通常のルームエアコンが部屋ごとに設置されるのに対し、全館空調は天井や床下、あるいは壁面などに機器を集約し、ダクトや吹き出し口を通して建物全体を快適な温度に保ちます。
最大の特徴は「温度差が少ない家づくり」を実現できることです。リビングと洗面所、寝室と廊下など、冷暖房が行き届きにくいスペースまで均一な温度に近づけられるため、ヒートショック対策としても注目されています。
高気密・高断熱性能を持つ住宅との相性が良い点も見逃せません。断熱性が低い家の場合、熱や冷気が逃げやすくなり、全館空調の本来の省エネ効果を十分に得られない可能性があります。
そのため、導入を検討する際は住宅の性能を総合的に確認し、設計段階から全館空調に適した構造を考えることが大切です。
エアコンとの違い
エアコンと全館空調は同じ「空調」というカテゴリーに入りますが、大きく異なるのは「管理する空間の範囲」と「温度制御の仕方」です。
ルームエアコンは設置されている部屋のみを集中的に冷暖房し、使わないときは電源を切るのが一般的。一方の全館空調は、家全体を絶えず一定の温度に保つ運転を基本とします。
この違いは光熱費にも影響します。ルームエアコンはオン・オフの切り替えが頻繁に起こるため、起動時に大きな電力を使います。全館空調は常に運転するので、一見すると電気代が高いイメージを持ちがちですが、実際は起動負荷が少ない分、月々の光熱費が大きく跳ね上がらないケースもあるのです。
またエアコンは壁に設置するため、デザインによってはインテリアの雰囲気を損なうことがありますが、全館空調は天井や床下などに機器を設置できるケースが多く、吹き出し口だけですっきり見せられます。
外観に関しても、ルームエアコンの場合は室外機が部屋数だけ必要になることがありますが、全館空調なら室外機が最低限で済むので、外観デザインを重視する方にも魅力的です。
全館空調のメリット
家全体を冷暖房する全館空調には、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
家中の温度を一定に保ちやすい
廊下や脱衣所など、ふだんエアコンの風が届きづらい箇所も快適に過ごせるのが大きな魅力です。真冬のトイレやお風呂場が極端に寒くならないため、ヒートショック予防にも効果的。部屋間の温度差で体調を崩しがちな高齢者や小さな子どもがいる家庭には特におすすめです。
空気の質を保ちやすい
天井などから空気を循環させるシステムでは、花粉やPM2.5などをキャッチできるフィルタを搭載している場合が多く、換気も同時に行います。そのため、室内に汚れた空気が滞留しにくく、窓を開けなくても空気の入れ替えが可能です。花粉症やアレルギー体質のご家族にも喜ばれるでしょう。
インテリアをすっきり保てる
ルームエアコンを各部屋に設置する必要がないため、壁にエアコン本体を取り付けずに済みます。天井や床下に配管をまとめ、吹き出し口だけが見えるデザインも可能なので、スタイリッシュな住まいを実現したい方には大きなポイントです。
電気代が安定する(安くなるケースも多い!)
全館空調は常時運転が前提ですが、一度設定した温度をキープし続けるため、こまめなオン・オフが必要なエアコンよりも起動時のエネルギー消費が少ないです。
部屋ごとにエアコンを何台もつけっぱなしにしているような使い方と比較して、意外と電気代が抑えられるケースがあります。
全館空調のデメリット
どんな設備にも短所はあり、全館空調も例外ではありません。導入を検討する前に、デメリットと対策を把握しておきましょう。
高気密・高断熱が必須
住宅が高断熱でないと、せっかくの空調効果が逃げてしまい、逆に電気代が膨らんでしまうことがあります。全館空調のメリットを最大限に得るためにも、断熱材の種類や窓の性能など、家全体の性能をきちんと設計する必要があります。
空気が乾燥しやすい
送風式の暖房機器は燃焼式と比べて水蒸気が発生しにくく、部屋の湿度が下がりやすい傾向があります。特に全館空調は家中の空気を巡回させるため、加湿器を置いたり、加湿機能付きの全館空調を選んだりするなど対策をおすすめします。
急激な温度調整が難しい
部分的かつ短時間で部屋を暖めたり冷やしたりすることは得意ではありません。帰宅後すぐに部屋を涼しくしたい、というような使い方には向かない面もあります。
しかし、全館空調は基本的に24時間運転させるため、慣れてしまえば「急に温度を変えたい」というシーン自体が少なくなるのも事実です。
導入コストと故障リスク
一台の大きな機器で家中を賄うため、導入コストが高額になることがあります。一般的な住宅の場合、導入コストは100〜300万円ほどかかるでしょう。
また、故障した場合は家全体の空調が止まるため、アフターメンテナンスや修理体制が整っている施工会社やメーカーを選ぶことが重要です。住まわれる地域の近くに信頼できる工務店を見つけることも重要です。
全館空調を取り入れた注文住宅の実例
アオイノハコのモデルハウスは、実際に施主である代表家族が住んでいる、全館空調を空調を取り入れた木造二階建て住宅です。ぜひモデルハウスにて、全館空調の居心地や性能をお確かめください。
実際に全館空調を導入している住宅では、冬場の冷え込みが激しい地域でも廊下と居室の温度差がほとんどなく、一日中快適な空間を保っている事例があります。
高気密・高断熱の家では光熱費が想定以上に抑えられ、「ルームエアコンを複数台つけるより結果的に安い」という声も珍しくありません。
さらに、外観やインテリアに配慮したい方にとっては、室外機の台数が少なく済むメリットが大きいでしょう。全館空調の送風口が目立たないため、開放感のあるリビングやスタイリッシュな内装を損ねずに済むのは大きなポイントです。
花粉の季節に窓をなるべく開けたくない家庭でも、全館空調の換気機能と空気清浄フィルターを使えば、室内の空気を綺麗に保つことができます。
まとめ:全館空調を検討するなら、まずは相談から
全館空調は、一年を通して家中を快適に保つための有力な選択肢です。特にヒートショックが心配な冬場や、花粉が多い季節などに威力を発揮し、「家のどこにいても過ごしやすい」という理想を叶えてくれます。
一方で、導入コストや高気密・高断熱設計の必要性など、事前に押さえておきたい注意点も存在します。注文住宅での導入を検討している方は、ぜひ実績豊富な専門家に相談し、全館空調を含めた総合的なプランを立てることをおすすめします。
家族のライフスタイルや予算、将来のメンテナンスまで考慮した上で全館空調を取り入れると、快適性と省エネ効果が両立する住まいに近づきます。
もし「具体的な費用感を知りたい」「断熱性能がどの程度あれば良いのか分からない」などの疑問があれば、早めの段階で私たちにご相談いただけますと幸いです。実際の建築事例やシミュレーションをもとに、納得のいく家づくりを進めていきましょう!