注文住宅を計画する際、リビングの広さは家族全員が快適に過ごせるかどうかを左右する重要な要素です。広さも形状も自分たちに合っていなければ、使いづらく家族の居心地が悪くなることがあります。
「リビングを計画する前に基本を知っておきたい」
「考え方を知って、失敗を減らしたい」
このようなお悩みの方に向けて、今回はリビングの適切な広さを決めるためのポイントをわかりやすく解説します。あいまいなイメージのまま、家づくりをスタートしてしまうと失敗するリスクが高まります。ぜひ家族のライフスタイルに合ったリビングを実現するための参考にしてください。
こちらの記事で掲載している住宅の画像はすべてアオイノハコがデザインいたしました。気になるデザインがございましたらお気軽にご相談ください。 |
リビングとLDK、どう違うの?
まずは「リビング」と「LDK」の違いについて整理しましょう。リビングとは、家族がくつろぐための空間を指します。古い言葉だと「居間」と呼ばれることもあります。
一方、LDKはリビング(LivingのL)、ダイニング(DiningのD)、キッチン(KitchenのK)の3つを一体とした空間のことです。それぞれの英語の頭文字からLDKと呼ばれます。
LDKでは、料理をするキッチン、食事をするダイニング、そしてくつろぐリビングがつながっています。3つが一体となったLDKは近年では主流になっています。
さらに、不動産やインテリアの用語として、キッチンを除いたリビングダイニングの空間をLDと呼ぶこともあります。「LDK〇〇畳」とか「LD〇〇㎡」と呼ばれるため、リビング単体ではどれくらいの広さがあるのか、把握しておきましょう。
注文住宅でのリビングの平均的な広さ
注文住宅で設計されるリビングの平均的な広さは、約6–12畳(20–30㎡)とされています。ただし、これは一般的な目安であり、家族の人数や生活スタイルによって適切な広さは変わります。
参考例として、家族構成ごとのリビングの目安となる平均的な広さを表にまとめました。
家族構成 | リビングの広さの目安 | LDKの広さの目安 |
2人暮らし | 6畳(10㎡) | 15畳(25㎡) |
3人家族 | 8畳(13㎡) | 18畳(30㎡) |
4人家族 | 10畳(16㎡) | 22畳(36㎡) |
5人以上の家族 | 12畳以上(20㎡以上) | 26畳以上(43㎡) |
たとえば、夫婦2人だけの世帯では6〜8畳程度のリビングで快適に過ごすことができます。一方、子どもが2人以上いる家庭では、12畳以上を好むケースが多いです。
リビングの広さを決める際には、家族全員がくつろげるかどうか、家族の成長とともにどのような過ごし方になっていくのかをイメージしておきましょう。
リビングの広さは何から決める?
リビングの広さを決める際には、以下のポイントを考慮する必要があります。
家族構成
家族の人数が広さを決定する基本的な要因です。たとえば2人暮らしの場合、6畳程度のリビングであれば2人掛けソファ、リビングテーブル、テレビボードを無理なく配置することができます。
4人暮らしであれば、ゆっくりくつろげる幅2mのL型ソファやリビングテーブル、テレビボードとリビングボードも配置可能です。
もし頻繁に祖父母や友人を招く機会が多いのであれば、リビングの広さは余裕を持たせた方がよいかもしれません。ぜひこれまでのライフスタイルを振り返ってみましょう。
リビングで過ごす時間
リビングが家族の団らんの中心になる場合は、あらかじめ広めの設計が必要でしょう。特に、映画鑑賞などテレビを囲んで過ごす時間が長い家庭では、家具の配置や大きさ、動線を考慮して余裕を持った広さにしましょう。
一方、ダイニングで過ごす時間が長い家庭では、リビングはややコンパクトにしても問題ないでしょう。
テレビの大きさ
テレビの大きさもリビングの広さを考える際の重要なポイントです。大画面テレビを設置する場合、視聴距離が適切でないと目が疲れたり、見づらくなったりする可能性があります。
視聴距離の目安として、フルHDテレビの場合は、画面の高さの3倍程度の距離を確保すると、快適に視聴できるとされています。また4Kテレビの場合は、画面の高さの1.5倍程度が目安です。
テレビのサイズ表
テレビのインチ(型) | テレビの高さ(cm) | テレビの幅(cm) |
45 | 56.00 | 99.60 |
50 | 62.30 | 110.70 |
55 | 68.50 | 121.70 |
60 | 74.70 | 132.80 |
65 | 80.90 | 143.90 |
70 | 87.20 | 154.90 |
たとえば、50インチのフルHDテレビを設置する場合、視聴距離は約2メートル必要です。50インチの4Kテレビの場合は、視聴距離は約1メートルが目安となります。
そのため、リビングの広さは設置したいテレビの大きさから計算することができます。テレビやソファの位置関係を考えて、リビングにはどの程度の広さが必要か計算してみましょう。その他に設置したい家具や、家事動線が確保されているかもポイントです。
テレビの視聴距離は目安はありますが、快適に感じるかどうかは個人差があります。目安よりも少し余裕を持たせた距離が確保できるようにすることがおすすめです。
広いリビングにしたときのメリット・デメリット
広いリビングには、メリットとデメリットの両方があります。計画を立てる際にはこれらをよく理解し、家族のニーズに合った選択をすることが重要です。
メリット
広いリビングは、さまざまな用途に対応できる点が魅力です。たとえば、天候に関係なく室内で物干しをしたり、子どもが勉強や遊びをするスペースとして活用できます。
また、運動や趣味のための場所としても役立ちます。フィットネス系のテレビゲームをしたり、ペットと遊ぶスペースとしても使えるため、多機能性があります。
さらに、家具の配置に余裕ができるため、模様替えを楽しむことができます。季節や気分に応じてインテリアを変更しやすい点は、住まいの快適性を向上させます。友人や親戚を招いてホームパーティーを開いたり、泊めたりする際にも便利です。
デメリット
一方で、広いリビングにはデメリットもあります。たとえば、天井照明の位置を慎重に考えないと、光が届きにくい場所ができる可能性があります。
間接照明やスタンドライトを活用することで解決できますが、その分コストがかかる場合があります。照明計画に詳しいプロにアドバイスを求めれば、具体的な解説策が提示してくれると思います。
また、冷暖房の効率が下がり、空調費用が増えることも考えられます。広さに応じたエアコンの選定やサーキュレーターの活用など、対策を講じる必要があります。
さらに、掃除の手間が増える点も見逃せませんが、ロボット掃除機やお掃除サービスを取り入れることで負担を軽減できます。
広いリビングは理想的ですが、その運用に伴うコストや手間を考慮し、家族の生活スタイルに合った設計を心がけることが大切です。
まとめ
リビングの広さを計画する際には、家族構成、生活スタイル、テレビのサイズといった複数の要素から総合的に判断しましょう。広々としたリビングは見栄えもよく、多目的に利用できる柔軟性を持っていますが、空調効率や掃除の手間といったデメリットがあります。
家族全員が快適に過ごせる広さを確保するためには、具体的な生活イメージを描くことがポイントです。また、設計段階で専門家と相談し、必要に応じてシミュレーションを行うことで、後悔のない家づくりが実現します。
自分たちに合ったリビングを設計することで、家族が心からくつろげる空間を作り上げましょう。