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2025.4.18
カテゴリ: よくわかる建築用語解説
断熱等級とは?基準の違いと等級ごとの違いをわかりやすく解説します!省エネ住宅を選ぶポイントに!

住宅を購入する際や新築を検討する際に、「断熱等級」という言葉を目にすることが増えてきました。この断熱等級は、住宅の断熱性能を評価する重要な指標であり、快適な暮らしや光熱費削減に直結します。
近年では、環境意識の高まりや省エネ住宅への注目が集まる中で、断熱等級の重要性がますます高まっています。しかし、断熱等級がどのようなものなのか分からないという方も多いのではないでしょうか。
断熱等級とは何なのか、等級ごとの違い、そして高断熱住宅を選ぶメリットについて、わかりやすく解説します。
断熱等級とは?
断熱等級とは、住宅の断熱性能を数値化して評価するための指標です。住宅の壁や床、天井、窓などの断熱性能を総合的に判断し、数字で表します。
断熱性能が高いほど、外気温の影響を受けにくく、室内の温度を安定して保つことができます。断熱等級は、断熱性能が住宅内のエネルギー消費量に直接影響するものであり、住宅の省エネ性能を示す重要な指標です。
例えば、断熱性能が低い住宅では、冬は暖房効率が悪く、夏は冷房の効きが悪いため、余分なエネルギーを消費することになります。
そのため、高い断熱等級を持つ住宅を選ぶことは、長期的な視点で見ると、快適性と経済性の両面で大きなメリットをもたらします。
断熱等級の基準
断熱等級の基準は、長らく「等級4」が最高ランクとされ、住宅性能表示制度における標準的な基準でした。「等級4」の住宅は、ある程度の断熱性を確保し、省エネ基準を満たすレベルとされています。
しかし、住宅の省エネ性能向上への社会的要請を受け、2022年4月には「等級5」が新設されました。これはZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)基準に相当する性能を持つものとなりました。
さらに、2022年10月には「等級6・7」が追加され、より高性能な断熱が求められるようになりました。これにより、日本の住宅の省エネ性能が大幅に向上する方向へと進んでいます。
断熱基準の強化は、単なる数値上の変更ではなく、住宅の質向上と環境負荷低減という二つの効果が期待できます。
断熱等級ごとの違い
住宅選びにおいて、断熱等級の違いについて理解しておきましょう。等級4〜等級7までの違いについて詳しく見ていきましょう。
等級4(従来の標準)
等級4は、長い間日本の住宅性能表示制度において最高ランクでした。この等級の住宅は、一般的な省エネ基準を満たすレベルの断熱性能を持っています。
具体的には、冬場の暖房負荷を抑え、ある程度の快適性を確保できる断熱性能です。しかし、現在の省エネ意識の高まりから見ると、標準的なレベルと位置づけられるようになってきました。
等級4の住宅は、基本的な断熱材の使用と気密性の確保により、一般的な住環境であり、特に寒冷地では物足りなさを感じる場合もあります。
等級5(ZEH基準)
等級5は、2022年4月に新設された基準であり、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)基準に相当する性能を持っています。
ZEHとは、高断熱・高気密な住宅に太陽光発電などの創エネ設備を組み合わせ、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロにすることを目指した住宅です。
等級5の住宅は、等級4と比較して約20%程度断熱性能が向上しており、冷暖房の効率が大幅に改善されます。
等級6(さらに高性能)
等級6は、2022年10に追加された基準で、等級5よりもさらに高い断熱性能を持っています。この等級の住宅では、断熱効果が増し、窓やドアなどの開口部にも高性能な製品が使用されます。
結果として、外気温の影響をほとんど受けない安定した室内環境の実現が可能です。特に厳しい冬を迎える北海道や東北地方では、この等級6レベルの断熱性能が推奨されています。
等級7(最高水準)
等級7は、現在の日本の住宅性能表示制度における最高水準の断熱等級です。等級7の住宅では、トリプルガラスの窓など最先端の建材が使用されるため、壁や床、窓の断熱効果が非常に高くなります。
この結果、外気温の影響をほぼ遮断し、一年を通じて安定した室温を維持できます。光熱費が大幅に削減され、環境負荷も最小限に抑えられるため、将来を見据えた住宅選びをする方にとって理想的な選択肢といえます。
断熱等級の高い住宅を選ぶメリット
断熱等級の高い住宅を選ぶことには、さまざまなメリットがありますが、快適性や経済性、健康面、環境面など多角的な視点から考えることが重要です。
それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
光熱費の削減
断熱等級の高い住宅の最大のメリットが、光熱費の削減です。冷暖房効率が良くなり、電気代・ガス代を節約できます。
高断熱住宅では、外気温の影響を受けにくいため、室内温度を維持するためのエネルギー消費が大幅に抑えられます。特に等級5以上の住宅では、等級4と比較して約20%程度の省エネ効果が期待できるのです。
例えば、一般的な住宅と高断熱住宅では、年間の冷暖房費に数万円以上の差が出るケースも珍しくありません。長期的に見れば、初期投資の高さを十分に回収できる経済的メリットがあると言えます。
健康的な住環境
断熱性能の高い住宅は、結露やカビの発生を防ぎ、快適な空間の維持が可能です。
断熱性能が低い住宅では、壁や窓などの表面温度が外気温の影響を受けやすく、室内の暖かい空気が冷たい壁面に触れると結露が発生します。この結露がカビやダニの発生原因となり、アレルギーや呼吸器疾患のリスクが高まるのです。
高断熱住宅では壁面温度が安定するため、結露の発生が大幅に抑えられます。また、家の中の温度差が少なくなることで、ヒートショックのリスクも低減します。特に高齢者にとっては、寒い脱衣所やトイレと暖かいリビングの温度差は命に関わる問題です。
家全体が均一に近い温度で保たれ断熱等級の高い住宅では、健康面でも大きなメリットがあります。
環境への配慮
断熱等級の高い住宅は、エネルギー消費を抑え、CO2排出量の削減に貢献します。地球温暖化対策として、住宅部門のCO2削減は重要な課題です。
高断熱住宅では、冷暖房に使用するエネルギーが少なくて済むため、CO2排出量も比例して減少します。個人の住宅レベルでの取り組みが、地球規模の環境問題解決につながるという点で、高断熱住宅の選択は社会的責任を果たすことにもなりますね。
また、再生可能エネルギー設備と組み合わせることで、より一層の環境負荷低減が可能になります。次の世代のためにも、環境に配慮した住宅選びをすることは、現代に生きる私たちの役割でもあるかもしれません。
住宅の資産価値が向上
断熱等級の高い住宅は、将来的な資産価値の向上にも寄与します。日本では2025年から新築住宅に対する断熱等級5級以上が義務化されるなど、住宅の省エネ性能に対する要求は年々厳しくなっていくでしょう。
そのため、すでに高い断熱等級を持つ住宅は、将来的な法規制強化にも対応できる先進性を持っています。
中古住宅市場においても、断熱性能の高さは大きな販売ポイントです。実際に、等級5以上の断熱性能を持つ住宅は、同等の立地や広さの等級4以下の住宅と比較して、売却時に高い価格で取引される傾向にあります。
長期的な視点で見れば、高断熱住宅への投資は、単なる居住環境の向上だけでなく、資産価値を保持するという経済的メリットも兼ね備えていると言えるでしょう。
まとめ
断熱等級は、住宅の省エネ性能を数値化した重要な指標です。従来は等級4が最高基準でしたが、近年の環境意識の高まりにより、等級5〜7までが新たに設定され、より高い断熱性能が求められるようになりました。
断熱等級の高い住宅を選ぶことで、光熱費の削減やCO2排出量削減による環境への配慮、そして住宅の資産価値向上など、短期的にも長期的にも大きなメリットがあります。
住宅は一生に一度の大きな買い物です。初期コストだけでなく、住み続ける何十年もの間の光熱費や維持管理費、健康面への影響、そして環境負荷も含めた総合的な視点で住宅を選ぶようにしましょう。
アオイノハコは高気密高断熱の高性能住宅の施工会社です。高断熱住宅にご興味がある方はお気軽にご相談ください。また、定期的に開催している構造見学会では、建築中の住宅もご見学いただけます。高断熱住宅の内部もご見学いただけますので、ぜひお気軽にご参加ください。