エネルギー消費を抑える「省エネ」に注目が集まる昨今、GX志向型住宅という言葉をよく耳にするようになりました。しかし、「聞いたことはあるけどどのような家なのかわからない」「むずかしい言葉が多すぎて覚えられない」という人も多いのではないでしょうか。
今話題のGX志向型住宅とはなにか、同じ省エネ住宅を指すZEHとはなにがちがうのかなどを解説して参ります。
どれだけエネルギー消費を抑えられるかは、注文住宅を建てるときに気になるポイントです。効率よくエネルギーを使用できる仕組みを知って、マイホームづくりにお役立てください。
GX志向型住宅ってどんな家?
GX志向型住宅とは、簡単にいうと断熱性が高くてエネルギー消費量の少ない家のことです。エネルギーにもいろいろな種類がありますが、ここでいうエネルギーは一次エネルギーを指します。
石油や天然ガス、太陽光、風力などの、自然から得られるエネルギーが一次エネルギーと呼ばれています。
省エネ住宅には、ほかにもZEH(ゼッチ)などがありますが、GX志向型住宅はそのなかでもより基準が厳しいことが特徴です。
基準が設けられた背景には、2050年を目標に温室効果ガスの排出を0ゼロにする「脱炭素社会(カーボンニュートラル)」運動があります。
GX志向型住宅の4つの条件を紹介!
GX志向型住宅の条件は全部で4つあります。また条件は戸建て住宅と共同住宅で異なります。
戸建て住宅の場合
一般住宅(右の条件以外) | 寒冷地・低日射地域 | 多雪地域・都市部狭小地等 | |
断熱等性能等級 | 等級6以上 | 等級6以上 | 等級6以上 |
一次エネルギー消費量削減率(再生可能エネルギー除く) | 35%以上 | 35%以上 | 35%以上 |
一次エネルギー消費量削減率(再生可能エネルギー含む) | 100%以上 | 75%以上 | 条件なし |
高度エネルギーマネジメントの導入 | 「ECHONET Lite AIF仕様」対応の「コントローラ」として、一般社団法人エコーネットコンソーシアムのホームページに掲載されている製品を設置 |
共同住宅の場合
住宅用途部分が占める階数3以下 | 住宅用途部分が占める階数4〜5 | 住宅用途部分が占める階数6 | |
断熱等性能等級 | 等級6以上 | 等級6以上 | 等級6以上 |
一次エネルギー消費量削減率(再生可能エネルギー除く) | 35%以上 | 35%以上 | 35%以上 |
一次エネルギー消費量削減率(再生可能エネルギー含む) | 75%以上 | 50%以上 | 条件なし |
高度エネルギーマネジメントの導入 | 「ECHONET Lite AIF仕様」対応の「コントローラ」として、一般社団法人エコーネットコンソーシアムのホームページに掲載されている製品を設置 |
戸建て住宅の基準を掘り下げ
今回は、注文住宅に関係する戸建て住宅に絞って、それぞれの条件を詳しく解説します。
断熱等性能等級
通称「断熱等級」とも呼ばれる断熱等性能等級は、住宅の断熱性能を国と交通省がクラス分けしたものです。等級は1〜7で、数字が大きくなるほど断熱性能も上がります。
GX志向型住宅の条件は、断熱等性能等級が6以上であることです。等級6の条件は以下の通りです。
地域区分 | ||||||||
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | |
UA値 | 0.28 | 0.28 | 0.28 | 0.34 | 0.46 | 0.46 | 0.46 | - |
ηAC値 | - | - | - | - | 3.0 | 2.8 | 2.7 | 5.1 |
地域区分とは、日本を気候条件をもとに8つに分類したものです。エネルギー消費量が多い寒冷な地域であるほど数字が小さくなります。
外皮平均熱貫流率を表すUA値は、室内の熱が壁などの外皮を通じて逃げてしまう量を数値化しています。数字が小さいほど、断熱性能が高いことを意味しており、寒い地域ほど厳しい基準が設けられているので注意しましょう。
対するηAC値は、夏場のエネルギー消費に着目した数値で、冷房期の平均日射熱取得率を表します。夏場の日差しから熱がどのくらい室内に入るかで決まり、数値が高くなるほど熱が入りやすい状態です。
地域区分は国土交通省のホームページで確認できるので、自分の住む地域の基準をぜひチェックしてみてください。
一次エネルギー消費量の削減率(再生可能エネルギー除く)
省エネ機器などを使用して、一次エネルギーの消費量を基準よりも35%以上削減することが求められています。問題となる基準値ですが、家を建てる場所の地域区分や床面積などの環境要因に加え、備え付ける機器などによって家ごとに変化します。
GX志向型住宅を希望する場合は、あらかじめ設計士や工務店に伝えて、しっかりと基準よりも35%削減できるように計算してもらいましょう。
一次エネルギー消費量の削減率(再生可能エネルギー含む)
再生可能エネルギーとは、太陽光などの枯渇しないエネルギーのことです。再生可能エネルギーを含む一次エネルギー消費量の削減率が100%以上あるいは75%以上が求められています。
つまり、一次エネルギーの使用量を35%削減することにプラスして、生活に必要なエネルギーを太陽光パネルなどの設置によって創エネし、一次エネルギー消費量を100%以上もしくは75%以上削減します。自家発電システムなどの設置がマストとなる条件です。
高度エネルギーマネジメントの導入
「ECHONET Lite AIF仕様」に対応している、一般社団法人エコーネットコンソーシアムのホームページに掲載されている製品を設置することが義務付けられています。
太陽光発電や蓄電池、エアコンなどの8種類の家電に対して、HEMS通信を行う際にECHONET Liteと呼ばれる通信規約を用いているものにAIF認証が与えられます。HEMSとは、エネルギーの使用状況をパソコンやスマホなどで管理できるシステムです。
つまり、省エネのために提供されているシステムを十分に使用できる環境を整えるための条件です。基準を満たしていてもホームページに掲載されていない製品では、GX志向型住宅として認められないので注意しましょう。
一般社団法人エコーネットコンソーシアムHP
GX志向型住宅とZEHとはどこがちがうの?
画像出典:ZEH補助金
前述の通り、省エネ性能の整った住宅には、ZEHというものがあります。ZEHとは、GX志向型住宅と同じく再生可能エネルギーを含む一次エネルギーの削減率が100%以下の住宅を指しますが、断熱等性能等級や再生可能エネルギーを除く削減率が異なります。
ZEHの場合、断熱等性能等級は5、再生可能エネルギーを除く一次エネルギーの削減率は20%以上です。
GX志向型住宅は断熱等性能等級6・再生可能エネルギーを除く一次エネルギーの削減率35%なので、GX志向型住宅の方がより厳しい基準であるといえるでしょう。
補助金を使ってお得にGX志向型住宅を建てよう!
画像出典:子育てグリーン住宅支援事業【公式】
GX志向型住宅を新築する場合には、「子育てグリーン住宅支援事業」と呼ばれる補助が受けられます。子育てと名前についていますが、子育て世代限定の補助ではありません。
令和6年度の補正予算案に導入された新しい補助で、最大160万円の補助が受けられます。省エネ住宅に興味のある人は、ぜひ制度を活用してお得に省エネライフを実現してみましょう。
まとめ
GX志向型住宅について解説しました。省エネに関する制度は、難しい言葉が多いため自分だけで理解しようとすると大変に感じるかもしれません。
わからないところは、工務店やハウスメーカーなどに相談することで、条件を満たす基準やコストについて詳しく相談することができます。
私たちアオイノハコでは、GX志向型住宅やZEHに対応する省エネなフルオーダーメイドの注文住宅を承っております。難しく感じやすい制度に関しても、丁寧に説明いたしますので、ぜひ一度ご相談ください。