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2025.4.15
カテゴリ: よくわかる建築用語解説
4号建築物とは?2025年4月の建築基準法改正の概要と確認申請不要の条件を徹底解説!

日本国内のすべての建物は、建築基準法に基づいて細かく分類されています。なかでも、「4号建築物」と呼ばれる建物は、一番小規模で住宅などにも関わる分類です。
しかし、「基準がよくわからない」「2025年で改正されるって本当?」など、わからないことも多いのではないでしょうか。
今回は4号建築物とはなにかや2025年4月からはどうなるのかなどを、詳しく解説していきます。
「4号建築物」とは?
4号建築物は建築基準法第6条で定められている分類のひとつです。まずは、すべての分類を見てみましょう。
分類 | 基準 |
1号建築物 | 特殊建築物(※1)・床面積が200m2以上 |
2号建築物 | 木造建築・3階以上・延面積が500m2以上・高さ13m以上・軒高9m以上 |
3号建築物 | 木造以外・2階以上・延面積が200m2以上 |
4号建築物 | 上記以外の建築物 |
(※1)建築基準法別表第1(い)欄の用途以外のもの
つまり、4号建築物とは以下のような建物を指します。
- 2階以下(高さ13m未満・軒高9m未満)で延面積が500m2未満の木造建築
- 木造以外の平屋建てで延面積が200m2未満の建築
つまり、日本における多くの住宅の多くが4号建築物に該当することになります。
4号特例ってなに?
4号建築物を説明する上で欠かせないポイントが「4号特例」です。4号特例とは、上記の分類で4号建築物とみなされた建物に対して、建築確認申請手続きのうちの一部を省略できる特例です。
たとえば、都市計画区域外の人口の少ない地域では、建築士が設計している建物であれば確認申請が必要ありません。また、修繕などをする場合は地域関係なく確認申請をしなくて済み、屋根の張り替えなどが気軽に行えます。
新築の場合は地域が限定されますが、改修やリフォームを実施するときには申請にかかる時間が大幅に削減できるうれしい特例です。
建築確認申請ってどんな手続き?
先ほど出てきた4号特例によって申請を省略できる建築確認申請とはどのような手続きなのでしょうか。
- 手続きに必要な書類
- 発行される書類
以上の2つを解説します。
手続きに必要な書類
建築確認申請とは、建築物を建てるときや10m2以上の増改築をするとき、大規模な修繕や模様替えをするときに必要になる手続きです。
修繕・模様替えの場合は、壁や屋根などの主要構造部のうち半分以上を変える場合に該当します。
【申請に必要な書類例】
- 確認申請書(建築物)
- 委任状
- 公図
- 建築計画概要書
- 工事届
- 案内図
- 配置図
- 求積図
- 平面図
- シックハウス計算表
これらの書類を提出し、着工前と建築物の完成後の2回審査を受けます。必要な書類の中に委任状があるとおり、基本的には設計が完了した段階でハウスメーカーや設計事務所が代理で申請することがほとんどです。
建物が完成したら、工事が完了したことを届け出て最終の検査を受けます。この検査を突破したら晴れて手続きも完了です。
このように、手間と時間のかかる申請です。また、申請には床面積に合わせて手数料がかかります。申請が不要となると、リフォームも気軽にしやすくなるでしょう。
発行される書類
建築確認申請では、2つの書類が発行されます。
- 建築確認済証
- 検査済証
まず、建築確認済証は1回目の申請時に発行される書類です。建設する建物の内容が建築基準法に適合しているかが確認されている、という証明になります。
建ぺい率など一般的な基準のほかに、2020年からは省エネ基準のチェックも加わりました。
また、1999年5月以前に設計された建物は、建築確認済証ではなく建築確認通知書が発行されています。これは、建築基準法改正に伴う名称変更で、役割は建築確認済証と変わりありません。
次に、検査済証は建物が申請通りに建設されているかをチェックし、問題なければ発行されます。建築確認済証は申請が建築基準法に則っているかを確認した証、検査済証は建物が申請に則って建てられているかを検査した証です。
完了検査は建物が完成してから4日以内に実施するよう定められているので、忘れずに届け出をしましょう。
また、検査を受けても検査済証を紛失してしまった場合は、検査済みであることを証明できなくなり違法建築物とみなされることもあるため、絶対に無くさないように保管しましょう。
2025年4月に建築基準法改正!4号建築物はどうなる?
パンフレット:2025年4月(予定)から4号特例が変わります(出典:国土交通省HP)
2025年4月より、改正された建築基準法がスタートします。結論から言うと、4号建築物は廃止になるので、これから新築を考えている人は注意しましょう。
建築基準法改正後の分類を知ろう!
改正後の建物の分類をまとめてみました。
分類 | 基準 |
新1号建築物 | 特殊建築物・床面積が200m2以上 |
新2号建築物 | 2階以上または延面積200m2以上(木造・非木造問わず) |
新3号建築物 | 上記以外の建築物 |
新基準と分類は上の表のとおりで、これまでの4号特例は新3号建築物に引き継がれます。
新3号建築物は、平屋建てであり延面積が200m2未満の建物のみが該当するので、一戸建てに多い木造2階建てなどでは特例が受けられなくなりました。
なお、新3号建築物への特例内容は、これまでの4号特例の内容と同様です。
建築基準法改正による私たちへの影響は?
特例を受けられる基準が一段と厳しくなり、「一戸建てを建てることが大変になったの?」と心配する人も多いでしょう。しかし、実際には新築に関してはこれまでとさほど変化がありません。
新築にかかわるものでは、「都市計画区域外に住んでいる場合の確認申請は不要」という特例がありましたが、都市計画区域外は山間部などの人口が少ない地域なので、もともと新築を建てる人も少ない地域でした。
生活しやすい平野部は、改正前でも確認申請が必要です。そのため、新築を考える多くの人は改正前も改正後も申請することになるので、特段変化はありません。
この改正による手続き内容の変更はないので、検査がより一層厳しくなるということも考えられないため安心してください。これまでどおり、理想の住宅をデザインして建築できます。
ただし、気をつけたいことは、修繕や模様替えを実施する場合です。
先ほど例に出した屋根の張り替えや壁などの構造部分にまつわるリフォームなどは、今まで確認申請が必要ありませんでした。しかし、改正後はこれらをする場合にも申請が必要です。忘れずに手続きをしましょう。
新3号建築物に該当する建物を建てたい!注意点は?
新3号建築物にかかる特例は、あくまで申請が不要になるだけであり、免除されるわけではないことを覚えておきましょう。
申請をしなくていいからといって、建築基準法から外れた建築物を自由に作れるわけではありません。
新3号建築物に該当する建物であっても、法律を熟知した建築士に依頼をして、基準に則った建築物を設計してもらいましょう。
まとめ
4号建築については2025年4月の建築基準法改正に伴う制度の変更点について解説しました。
建築基準法の改正と聞くと、思い通りの家を作りにくくなってしまうのではないかと心配する人も多いと思いますが、今回の改正についてはこれまでと大きく変わる点はありません。
改修やリフォームなどのときに、申請が必要になることだけ覚えておきましょう。
私たちアオイノハコでは、建築基準法改正についての質問なども承っております。家を持つにあたって、専門的なことをしっかりと把握してから家づくりを楽しみたい人も大歓迎です。なんでもご相談ください。