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2025.3.17
カテゴリ: 家づくりに関する法律の話し
2025年建築基準法改正で築年数が古い家は「再建築不可」になる!?4号特例ってなに?リフォームはどうなる?影響と対策を解説!

2025年4月に予定されている建築基準法の改正によって、「築年数が古い家は再建築ができなくなるのでは?」と不安を感じる方が増えているようです。
特に、都市部の狭い道路沿いや密集した住宅地では、古い建物が接道義務を満たしていないケースも少なくありません。今回は法改正の背景とポイント、そして「4号特例」の縮小がもたらすリフォームへの影響を解説します。
2025年の建築基準法改正で何が変わる?
建築基準法改正では様々な点が改正されますが、住宅におけるもっとも大きな影響は「4号特例の縮小」による、建築確認申請の厳格化でしょう。これにより、これまで日本の住宅の多くで免除されてきたリフォーム前の建築確認申請が義務付けられ、リフォームや修繕にかかるコストや期間が伸びることが懸念されています。
改正の背景
2025年4月の改正の背景には、近年の省エネ基準強化や耐震性能向上などの社会的ニーズが影響しています。エネルギー効率の悪い家や、旧耐震基準で建てられた建物、過密すぎる住宅地といった問題は、環境負荷や災害時に問題を引き起こす原因となります。法改正によって、こうした課題に対処する流れになっています。
4号特例の縮小
今回の改正の最大の変更点となっているのが、4号特例の縮小です。
これまで「4号建築物」と呼ばれていた小規模な木造建物は、建築確認申請時の手続きが簡略化される特例を受けていました。しかし、2025年の改正では木造2階建てや延べ面積が一定以上の平屋でも従来と比べて審査のハードルが上がります。
以前は4号特例のため省略できていた構造計算や省エネ性能のチェックが必要になるため、工期やコストが増すことが予想されます。
建築確認申請の厳格化
さらに、改正後は増改築や大規模なリフォームを行なう際にも書類の提出が増えるなど、建築確認申請がより厳しくなる見込みです。
以前は「4号特例の範囲なので申請は不要」とされていた修繕でも、今後は確認申請が要るケースが出てきます。木造住宅を中心に、以前より手間が増えるとみられています。木造住宅は日本における住宅建築の殆どが該当するため、かなり多くの影響が出ることが予想できますね。
築年数が古い家は「再建築不可」になる?
もう一つ、今回の改正で影響が大きいとされているのが、「再建築不可物件」についてです。こちらについても掘り下げて解説します。
「再建築不可物件」とは
「再建築不可物件」と呼ばれる建物は、現行の建築許可の条件を満たせず、新たに建て替えが許可されない状態を指します。細い路地や袋小路に立つ住まいは、現行の建築基準法と照らしあわせると不適合の可能性が高いのです。
接道義務や建ぺい率・容積率オーバー
再建築不可になる理由で多いのは、敷地が幅員4m以上の道路に2m以上接していないケースです。昔の建物は隣家と密着している場合もあり、建物の建ぺい率や容積率がオーバーしていることも多く見受けられます。 法改正後は、建築確認申請が通らない事例が増えるでしょう。
2025年改正で浮き彫りになる問題
今回の改正では4号特例の縮小で「この建物なら大規模リフォームできる」と思われていたグレーゾーンがほぼ消滅します。結果として「改装工事には確認申請が必要だが、要件を満たさないために認められない」というケースが出やすくなるのです。これが「築年数が古い家は再建築不可になるのでは?」という不安を助長しています。
リフォームはどうなる?再建築不可物件に及ぼす影響
今回の影響が今後リフォームに及ぼす影響を具体的に考えてみます。
大規模リフォームへのハードル上昇
4号特例が縮小されると、木造2階建ての家や延べ面積が200平米を超える平屋でも、改修時に確認申請が必要となります。
再建築不可物件が、新しい基準をクリアするには建物の一部を取り壊す「減築」や、構造そのものを補強する大規模工事が必須となるケースがあります。
こうした工事は費用も大きく、実質的には「新築並みの予算」が必要になることも珍しくありません。
減築・耐震補強・断熱改修が求められる
戦後や高度成長期に建てられた建物を現行法レベルに引き上げるには、壁や柱を補強したり、基礎を強化するなど広範囲に手をかける必要があります。
さらに、2025年の改正では省エネ性能の向上も重視されるため、高性能断熱材や二重サッシ工事なども加わるでしょう。これらは一般的なリフォーム費用を超える可能性が出てきます。
「新築に近い」規模のフルリノベになりがち
既存の不適格状態を本気で解消しようとすると、構造を骨組みから見直し、加えて断熱や耐火性能も向上させる必要があります。
結局は屋根・外壁・基礎など全面に手を加えるため、新築に近い大工事になることが多いのです。予算と時間がかかるうえ、リフォーム後も「再建築不可」の状態が続くケースでは資産価値の点でも懸念が残ります。
小規模なリフォームなら可能な場合も
主要構造部に影響しない小規模の内装リフォームや部分的な設備交換であれば、法改正後でも建築確認申請は不要となるケースに該当します。
そのため、床面積200平米以内の木造平屋など、条件によってはこれまでどおり改修ができる場合もあります。ただし「安全性や省エネ性を本格的に高めたい」というニーズには応えづらい点も覚えておきましょう。
注文住宅を検討している人への影響とは?
リフォームだけではなく、新築住宅を考えている方への影響と対策を考えてみます。
土地選び・建て替え時のチェック項目
注文住宅を新しく建てる場合には、敷地がきちんと接道義務を満たしているか、周辺の用途地域がどうなっているかなど、あらかじめ確認しておきましょう。
将来的に増改築を考えるなら、建物の規模や構造も含めた長期的な視点が必要です。 特に密集したエリアや古い街区では、建築基準法の制限が想定以上に厳しい場合もあるため、専門家のサポートを受けることが大切です。
安全性と資産価値の両立
旧耐震基準で建てられた物件は耐震診断の結果によっては大きな補強工事が必要になります。また、性能が向上しないままの建物は売却時の評価が下がりやすいです。
とくにローン審査などでも不利になる恐れがあるため、「耐震等級」や「長期優良住宅」などの今後を見据えた家づくりが資産形成を考えるうえで見逃せなくなります。
中古リノベ派への注意点
近年は中古物件をリノベーションして住むスタイルが注目されています。しかし、再建築不可や旧耐震の物件は、安価で手に入る一方で、改修時に予想外の費用がかさむ可能性があります。
結局、買った後にフルリノベが必要になると、新築のほうが安く済んだという事態になりかねません。中古住宅のフルリノベーションを検討中の方は、新築との値段や性能の差をシビアに考えていく必要があるでしょう。
2025年改正に備える対策
施主様の視点で改正に対してどのような対策が行えるかを考えてみます。
早めの情報収集と専門家への相談
法改正に合わせたリフォームや建て替えの要件は、自治体や地域によって細部が異なることもあります。まずは建築士や不動産会社といった専門家に、再建築不可物件に関して相談しましょう。専門家や行政窓口へのヒアリングで、具体的な手続きの流れや費用の目安をつかむことができます。
もちろん私たちアオイノハコにもお気軽にご相談ください。当社では、高気密・高断熱性能に加え、高耐震設計も考慮した安心安全快適な住環境をご提案させて頂きます!
接道義務を解消して再建築可能にする
根本的に「再建築不可」状態を脱するには、幅員4m以上の道路に2m以上接するために隣地を買い足したり、セットバックを行なう方法があります。
また、建築基準法第43条ただし書きの適用を受けることによって、特例的に再建築が認められることもあります。適用がある場所なのか、事前に確認しましょう。
まとめ
2025年4月の建築基準法改正によって、これまで4号特例の範囲内で可能だった大規模リフォームに厳しい規制がかかる見通しです。築年数が古い建物を改修しようとしている方にとっては、費用や手続き面で大きな影響があります。
再建築不可の物件は、接道義務や旧耐震基準への適合問題などハードルが高く、将来の資産価値や安全性にも不安が残ります。注文住宅を検討している人も、中古リノベーションを考える際は法改正の内容をしっかり把握し、早めに専門家へ相談することが大切です。私たちにお気軽にご相談ください。
長期的な視点で、建物の性能やライフプランを見すえて、改正後の厳しいルール下でも安心できる住まいづくりを目指しましょう。